メッキ鋼板3社を告発へ、価格カルテルで来週にも…公取委

11月7日3時5分配信 読売新聞

 建材用メッキ鋼板の販売を巡り、新日鉄の子会社・日鉄住金鋼板(東京都中央区)など鋼板メーカー大手が価格カルテルを結んでいたとされる事件で、各社が「2006年7月出荷分から1キロあたり10円の値上げをする」と合意していたことが関係者の話でわかった。

 公正取引委員会は来週中にも3社を独占禁止法違反(不当な取引制限)容疑で検事総長に告発する見通しで、東京地検特捜部は本格捜査に乗り出すとみられる。

 ほかに告発されるとみられるのは日新製鋼(千代田区)と淀川製鋼所(大阪市)。公取委は今年1月、JFE鋼板(東京都中央区)を含めた4社の強制調査に着手している。JFE鋼板は調査前にカルテルを自主申告したため、告発を見送られる可能性が高い。

 関係者によると、4社は防さび処理を施し、屋根や外壁、シャッターなどに使われる建材用メッキ鋼板の販売について、06年5月ごろに会合を開くなどして協議。同年7月からの出荷価格の値上げ幅を1キロあたり10円と合意し、これに従って一斉に値上げをした疑いが持たれている。

 メッキの原料となる亜鉛の国際相場は、05年の平均価格は1トンあたり1382ドルだったが、06年は3273ドルに急騰していた。各社はコスト高による収益悪化を避けるために値上げを取り決め、足並みをそろえたとみられる。

 メッキ鋼板は、外装用に加工した「カラー鋼板」と天井裏や床下などで使われる「塗装なし」があり、販売経路も仕様や価格を交渉して大口顧客に納入する「ひも付き」と汎用性の高い製品を問屋などに卸す「店売り」に分かれている。

 カルテルはこのうちカラー鋼板の店売りなどで結ばれていた疑いが強く、東京地検特捜部は担当幹部の事情聴取を進めている。

 建材用メッキ鋼板の年間市場規模は約3000億円。シェアの約8割を占める大手4社が関与したカルテルは国民生活への影響が大きく、違反のあった時期も06年1月に罰則を強化した改正独禁法が施行された後だったため、特捜部と公取委では告発が相当と判断した。

 改正独禁法で導入された強制調査権に基づく公取委の告発は4件目。価格カルテルでは、1991年に食品包装用ラップのカルテルが告発されて以来となる。

 メッキ鋼板は、建材のほか自動車の車体や家電製品にも使われている。日本鉄鋼連盟によると、07年の生産量は1472万トンで、国内の鋼材メーカーの主力製品の一つ。

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