JFEの高張力ハイテン鋼管 新型オデッセイに採用

11月18日8時3分配信 フジサンケイ ビジネスアイ

 JFEスチールは17日、引っ張り強度(張力)が980メガパスカル(100キロ級)という高張力(ハイテン)鋼管が、高い成形性を求められる自動車のボディー部に世界で初めて採用された、と発表した。これまでは加工の難しさから、自動車の骨格構造部は主に薄鋼板を張り合わせて製造していた。JFEは今回開発した技術を他メーカーにも売り込み、自動車向けハイテン鋼管の販売拡大を狙う。

 新開発のハイテン鋼管は、ホンダの新型ミニバン「オデッセイ」のフロントピラー(フロントガラスを支える支柱)に使われ、同車の売り物である「視界向上」に一役買っている。

 自動車メーカーは、燃費の改善と安全性の向上につながるとして、軽くて強いハイテン鋼材の使用比率を高めている。だが、鋼板に比べて鋼管は、成形が難しく、溶接も外側からしかできないデメリットがある。そのため、ドアの内部でそのまま直管形状で使える部分や、加工が比較的単純な足回り部分で張力が80キロ級程度の鋼管が使われる程度にとどまっていた。

 今回開発した素材は、複雑な形状を可能とする水圧加工に耐えるしなやかさを備えているのが特徴。この鋼管によって、ホンダはフロントピラーを前モデルより約30%スリム化。「低く構えた攻撃的なスタイル」を維持したまま、左右の視界を向上させた。左右のフロントピラーで計約5キロのハイテン鋼管が使われている。

 自動車向けハイテン鋼管は、今回のオデッセイ向けを含め月産80トンだが、JFEスチール鋼管セクターの村瀬文夫部長は「2015年には100~300トンを目指す」という。このため、ホンダが採用した技術を他社にも提案すると同時に、ハイテン鋼管の他の部分でも自動車ボディーへの適用技術開発を進める。

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