新年炊き出し:ホームレスも生きるため懸命 元路上生活者が体験談--小倉北 /福岡

1月4日13時1分配信 毎日新聞

 ◇勝山公園で新年炊き出し
 NPO法人北九州ホームレス支援機構(奥田知志理事長)による毎年恒例の「新年炊き出し」が3日、小倉北区城内の勝山公園であった。今年は、元路上生活者から直接話を聞いて命や人権について考えてもらおうと小倉北区内の小中学校に参加者を募り、約30人が集まった。【長谷川容子】
 ◇コミュニケーション、生きがい--若者が花火/雨/食事なし
 ◇“命・人権”に子供たちも聴き入る
 路上生活者約80人が参加。牛肉を鉄板で焼いた出来たての弁当が振る舞われたほか、風邪薬や胃薬も配布。子供たちもスタッフに混じってぜんざいやようかんを配った。
 その後、会場を移して、元路上生活者の男性(64)が体験談を語った。男性は約6年にわたって博多駅や福岡空港付近の公園で野宿。テント暮らしの公園では、若者が投げこんだ花火で危うく命を落としそうになる経験もし、仲間で自衛パトロールを行ったという。
 路上生活する上で最も大変だったのが「雨が降る日と飯が食べられなかった日」で、他人とコミュニケーションできた時に「生きてて良かった」と思えたという。男性は「ホームレスだって生きるために一生懸命。それが伝わらないのがつらかった」と訴えた。
 男性は現在、同機構が運営する自立生活援助ホーム「抱樸館」(山口県下関市)で働いているが、路上生活からの“脱出”のきっかけは1カ月にわたる入院だった。「約80万円の治療費が税金で払われた時、もう一度立ち上がりたいと思った」と言い、子供たちは真剣な表情で聴き入っていた。
 奥田理事長は「もう一回頑張ろうと思えるのは『助けてもらった』と思った時。誰かに頼るのは恥ずかしいことじゃない。ホームレスとは単に家がないことを言うのでなく、助けてくれる人がいないこと。お互いがお互いを支えよう」と呼びかけた。
〔北九州版〕

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