<インタビュー>「NANTA」の制作者、ソン・スンファン代表

8月18日19時42分配信 聯合ニュース

【ソウル18日聯合ニュース】「もう12年ではなく、まだ12年しか経っていないと言いたいです」――。
 1997年10月の初演以降、12年間韓国を代表する文化公演として世界各地で上演されたノンバーバルパフォーマンス「NANTA(ナンタ)」。同作品の生みの親、PMCプロダクションのソン・スンファン代表はNANTAの成功は現在も「進行形」だと語る。2007年7月に国内初の専用館を設立し、先月22日には専用館での公演が1万回を突破するなど数多くの記録を打ち立ててきたが、ソン代表はまだ満足していない。
 自身が死んだ後も公演され続ける作品作りを目指しており、世の中が変わり観客の感覚も変わるため、NANTAも引き続きアップグレードさせていくとした。「外国には50~60年にわたり上演されている作品があるが、NANTAはようやく12年たった。韓国の観客は新しいものに敏感だが、長い目で見ることも必要だ」と訴える。NANTAは長く続いた公演だと思われているが、50~60年続けるにはまだまだ道のりは遠いと考えている。
 NANTAのこれまでの観客総数は470万人に達し、初年度に30億ウォン(約2億2600万円)水準だった年間売上高は150億ウォンを超えた。5人で出発したPMCプロダクションは80人の社員を抱える会社に成長し、契約した俳優だけで150人に上る。
 こうした成功は世界市場進出という明確な目標から生まれた。この確固たる目標に向け、言葉の壁を超えることができるノンバーバルパフォーマンスを選んだのだ。国内3か所に専用館を設立し、外国人観光客を誘致した戦略も功を奏した。現在はタイなど海外に専用館設立を打診するなど、新たな飛躍に向け準備している。
 NANTAの成功神話を継承する後続作も間もなく公開される。「NANTA2」と呼ばれる「The Auto」が10月にトライアウト公演として披露される予定だ。NANTAと同様、リズムとビートを中心としたノンバーバルパフォーマンスで、舞台を厨房(ちゅうぼう)から自動車整備工場に移し、整備中に巻き起こる事件を描く。
 ソン代表はNANTAと同様、家族が共に楽しめる「ファミリーショー」だと紹介する。いつ、どこででも見られる自動車は生活に密接しており、非常に親しみやすい素材というメリットがあると説明した。鉄板だけではなく、クラクションやオーディオなどで大きな音を出すほか、ヘッドライトやワイパーなどで視覚的にもさまざまな効果を加える。
 もう1つの野心作は安東河回タルチュム(仮面劇)を利用した「タル」だ。ソン代表は「タルチュムの伝授は続いてきたが、タル(仮面)を利用した現代的なパフォーマンスはなく、残念だった」とし、来年8月ごろに慶尚南道・安東に設けられる1000席規模の劇場で作品を披露する予定だ。同作品も海外進出を念頭に置いていると語った。
 続編は成功が難しいともいわれるが、ソン代表は2作品ともNANTAに続き成功すると信じている。NANTAの経験を生かし、これまでよりは楽に世界市場に進出できるとみている。
 現在はノンバーバルパフォーマンスの制作に力を入れているが、ソン代表は子役俳優として芸能界入りし、正統演劇、テレビドラマ、映画、ラジオDJ、テレビ番組の司会など多方面で活躍してきた。自分のことを演劇だけにこだわる俳優でもなければ、テレビにだけ出演するエンターテイナーでもないと評価する。1つの方向に偏らず、広く柔軟に考えることができたため、ノンバーバルパフォーマンスで成功を収めることができたのではないかと話す。今後もNANTAのようなロングラン作品の制作を目標に、引き続き海外進出を試み、ミュージカルの創作にも力を入れる計画だ。「今はブロードウェイミュージカルが優勢だが、情緒的に韓国の観客に合わない部分もあります。ハリウッド映画がある日、韓国映画に主導権を明け渡したように、ミュージカルもそんな日が訪れると思います」。

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