田川の炭鉱住宅 市住に建て替え 72戸解体準備始まる

 田川市松原地区で、市営住宅に建て替えられる最後の炭鉱住宅の解体準備作業が始まった26日、現場には元炭鉱マンらが駆け付け、多くの思い出が詰まった住宅が消え去ろうとする様子を見守った。

 その一人、矢田政之さん(79)(田川市新町)は1948年、18歳で旧三井田川鉱業所に就職。地下550メートルの坑内で落盤を防ぐ業務を担当し、労働組合の活動にも参加した。今でも、仕事を終えて共同浴場で汗を流す炭鉱マンや、炭鉱住宅の路地を元気に走り回る子どもたちの姿をよく覚えているという。

 解体工事は月末に着手される予定。矢田さんは、工事中に外部から立ち入ることができないよう、炭鉱住宅の周囲に縦2メートル、幅50センチの鉄板が次々と取り付けられる様子を見つめながら、「地域の発展や私たちの生活を支えてくれた炭鉱住宅に感謝したい」と話した。

 松原地区に残る炭鉱住宅は115戸で、今回解体するのはうち72戸。市は残りの住宅も買収して2012年度までにすべて取り壊し、跡地に市営住宅や公園などの整備を計画している。

(2010年5月27日 読売新聞)

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