滑る危険なマンホール蓋の「なぜ?滑る」原因を研究しているプロジェクトのご紹介。

龍谷大学学生部SMAP計画採用プロジェクト
交通安全バリアフリーを科学する
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青春クローズアップ マンホールのスリップ事故ををなくしたい 熱血2人組が大活躍!法学部政治学科4年生・大阪上宮高校出身 齋藤唯さん・中道健介さん

交通安全バリアフリーを科学するOrigin

人々が何気なく通り過ぎるマンホール。このように地道に調査を行い、安全なもの、危険なもの、さまざまな種類を実際に目で見て調べた。 雨の日のバイク。ブレーキをかけたら突然スリップしてヒヤリ、あるいは運悪く転倒したという経験はないだろうか。普段は存在すら忘れているマンホールだが、濡れたマンホール上のスリップ事故は驚くほど多いという。
「僕自身、アルバイトの帰りにバイクで転んでケガをしたんです。“これって危ないんとちゃう?”という素朴な疑問を持ったのがきっかけ」と齋藤さん。すぐにインターネットで“マンホール”“スリップ”などの項目で検索したところ、500件ほどの事故報告が見付かり、中には「頚椎損傷した」「両手両足が麻痺した」などの重大な事例もあった。
「あまりに多くてびっくりしました。ケガをする人をなくしたい、こんなことで人生が変わってしまってはいけないと思いました」
早速、ゼミ仲間などに呼びかけ「交通安全バリアフリーを科学するOrigin(オリジン)を結成したのは一昨年の7月のことだ。
マスコミや行政も動いた

「最初は知識がないので、専門書を読んでマンホールの勉強から始めましたよ」と活動をスタート。そして、マンホールを管理する行政の下水道担当者への聞き取り調査や、京都・奈良・神戸など8市で現状調査などを重ねていった。
「表面が摩耗してツルツルになった蓋が、交通量の多い交差点などにそのまま使われている。マンホールの数も把握されていなくて点検もほとんど行なわれていない。それに使用する蓋も行政によってバラバラで設置基準がないのも問題だと感じました」
龍大生などの協力を得て、アンケート調査も実施した。なんと100人中64人がバイクや自転車で走行中、マンホールで滑った経験があるという結果に。自分たちの活動の必要性をますます確信したという。
「僕らが訴えたいのは、せめて新規採用の蓋にはノンスリップ型(雨の日でも摩擦係数が高い安全なタイプ)を採用してほしいということ!」と力を込める。
なんでも日本全国にあるマンホールは約1千万個。そのうち1年に約50万個の交換、新設が行なわれているそうだ。
「急勾配や交差点、カーブなど危険箇所に限定してノンスリップ型を採用する行政が多いのですが、アンケート調査では直線も事故事例がかなり多いという結果が出ています。バイクや自転車、歩行者が通る可能性のあるすべてのマンホールをノンスリップ型にすべきで、それがすぐには不可能でも、スリップ止め加工を施すだけでもかなり改善されます」と訴えてきた。
地道な活動は新聞やテレビなどのマスコミに取り上げられ、やがて行政も動かしていった。今年、奈良市の市議会でマンホールの全面点検が決議されたのだ。
「じつは龍大出身の市会議員さんにお願いして、議員さんたちの前でレクチャーしましたよ。それに危険性をアピールするのはマスコミが一番。新聞記者さんに毎日のように載せてくれと電話しました」

はじめは物静かだった中道さん。話が進むにつれ、落ち着いた口調で、齋藤さんをフォロー 熱っぽく語ってくれた齋藤さん。時折見せるいたずらっぽい笑顔が印象的だ。

龍大も活動を支援

「交通安全バリアフリーを科学するOrigin」の活動は、龍谷大学学生部が学生の自主的な活動を支援する「SMAP計画」(Self Making Assist Program)に採用された。
「マスコミで話題になったり、行政が動いてくれてホッとしています。合計18万円の活動援助金がもらえてうれしいのですが、結果を出さなければというプレッシャーがあり大変だった」と振り返る。結成以来2年半、最初は6人いたメンバーも2人になり、道のりはなかなか険しかったようだ。
「これに賭けていました。自分がやらないと世の中は変わらない、迷いは全然なかったですね。目標に向かっている途中で行き詰まることが度々ありました。しかし、それを乗り越える道は複数あることが分かった」と牽引役の齋藤さんは活動を通じて得たことの大きさに満足そうだ。
一方、齋藤さんをフォローし、良き片腕として歩んできた中道さんも、「微力でも動き出せば、結果が出ることを実感できた。僕ら学生の話を真剣に聞いてくれる人もいて心強かった」と自身の成長を語る。やんちゃな印象の齋藤さん、おっとりタイプの中道さん、チームワークばっちりの名コンビだ。
就職が決まった2人。残り少ない学生生活も全国の自治体におけるマンホール対策の有無を調べ、データベースを作る作業で忙しい。
「社会人になっても続けたいけど、仕事が中途半端になってはいけないし…。できれば後輩たちに続けてもらいたい。でも“マンホールサークルです”っていうと嫌がられそう」と顔を見合わせて笑う。一生懸命に頑張って成果をあげただけに、ぜひ後継者が現れてほしいものだ。
2人の話を聞いた後、道路上のマンホールがやけに目についた。
あっ、ツルツルになってる、危ない、危ない。

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