【ベトナム・インドシナ】日系投資、上半期は販社がけん引

7月17日8時30分配信 NNA

 日系企業の対越直接投資(FDI)に変化が出始めた。今年から小売・卸売業も外資100%企業設立が認められ、日系投資は商社・販社が上位を占める一方、組み立て・部品メーカーの大型進出はない。今年上半期の日系新規投資は9,400万米ドルと昨年同期の71億米ドルに比べ70分の1。昨年は出光興産の製油所案件62億米ドルがあったが、それを除いても10分の1と落ち込んだ。(遠藤堂太)

 上半期(1~6月)の首位は伊藤忠商事と国営べトナム石油ガスグループ(ペトロベトナム)子会社PVオイルとの合弁エタノール製造事業7,700万米ドルだが、南部ビンフオック省であくまで事業化調査(FS)を行うだけだ。実質首位は輸入・卸売のシャープの600万米ドル、2位がオムロン電子の100万米ドルという状況だ。日系の他国法人からの出資としては双日が3,000万米ドルで首位、輸入・卸売のブラザー・インターナショナルが200万米ドルで2位だった。両社ともシンガポール法人が出資。
 
 なお、台湾の中国鋼鉄・住友金属工業・住友商事など鋼板製造の11億4,800万米ドルは、台湾企業の投資として計上されている。
 
 ■製造業、秋以降に期待
 
 「昨年の秋以降、新規契約はありませんが、6月に入ってから視察が増えました」
 
 住友商事が出資する第2タンロン工業団地(北部フンイエン省)は今年2月に造成が終わり、現在は日機装や文化シヤッターなど5社が工場を建設中だ。5月までは新型インフルエンザ(H1N1型)の影響もあり、視察はほとんどなかった。
 
 しかし、6月に入り視察が増える。調子の良い国内販売のバイク、家電製造だけでなく、ダメージを受けた輸出加工型企業の求人も最近は目立ち、ベトナムの立ち直りは早い。この秋にも1年ぶりの新規契約に同団地は期待している。
 
 東京・霞が関のベトナム経済研究所が裾野産業育成、日本の中小企業誘致を目的に計画中の北部バクニン省クエボ工業団地の標準工場(レンタル工場)は8月末には本格着工する。日越民間合弁による管理会社も設立準備中。同研究所は、9月には日本で入居概要のパンフレットを配付する。標準工場は1カ月1平方メートル当たり5米ドルが相場だが、それよりも安い価格で提供、商工省のバックアップもあるという。既に数社から引きあいがあるようだ。
 
 ■今が底か
 
 耐久消費財不況──。今回の世界同時不況について、国際協力銀行(JBIC)の渡辺博史経営責任者(CEО)が語っている。自動車や家電製品といった5~10年毎に買い替える耐久消費財の購入が控えられるのが不況の主因で、遅かれ早かれ世界需要は確実に回復すると見る。
 
 ある専門家によると、日本では第1四半期(1~3月)の工業生産が一番の底。第2四半期には回復の明るい兆しが見えたとの安堵感が日本の経営者に広がったという。第3四半期で生産が伸びれば、ベトナムでの製造業投資を検討する企業が増えると見る。
 
 ■内需の伸び、どう取り込む
 
 ベトナムでは、耐久消費財のバイクもホンダ・ヤマハ両社の第1四半期は、前年並みの50万台弱と好調。特に高価格のスクーターで、ホンダは81%増だ。トヨタのカローラや高級SUV(多目的スポーツ車)フォーチュナーは購入予約をしても納車は2カ月待ちの人気、不況はどこ吹く風の雰囲気だ。ベトナムの上半期の小売業売上高は、20%の伸びを示した。
 
 こうした伸びに、日本企業はベトナムで製造・販売するか。関税率が下がるASEAN自由貿易地域(AFTA)や外資小売・卸売開放をにらんで、ベトナム市場を輸入・販売地と位置づけるのか。
 
 バイクや家電製造でベトナムは中小企業が担い手となる2次サプライヤー(部品メーカーに部材を供給する企業)の進出が進みつつあるが、台湾・韓国企業が目立つのが気になる。
 
 日本企業がベトナムの成長をどう取り込む戦略を立てるかが注目される。<ベトナム>

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