11月21日8時0分配信 NNA
政府は18日から鉄鋼製品のうち、銑鉄、半製品、条鋼、鋼板について一律5%の輸入関税を課したと発表した。大豆油に対する輸入関税も20%となる。国内メーカーの保護を目的とした措置だが、税率が低すぎるとして、効果を疑問視する向きもあるようだ。
ビジネス・スタンダード(電子版)などによると、鉄鋼製品と大豆油の輸入関税は政府のインフレ抑制策の一環として今年4月に撤廃されていた。
中国などからの安価な海外製品の流入に苦しむ国内鉄鋼メーカーの強い要望を政府が部分的に受け入れた格好だ。チダムバラム財務相も国内メーカーの権益を保護するための「セーフガード」との見解を示した。
ただ、業界関係者の間では、今回の輸入関税が適用されても、中国やウクライナなどからの輸入品の取引価格はトン当たり1,100ルピー高くなる程度にとどまることから、輸入関税の効果は薄いとの声もあがっている。国内製品との価格差は約1万ルピーに達しているという。政府内でも鉄鋼省は先月、全製品に対して一律10%の輸入関税を課すよう財務省に要請していた。
また、モルガン・スタンレー証券(MS)も18日付のリポートで、今回の措置による影響は限定的と指摘している。MSは、新たな関税を考慮に入れた場合でも、国内の鉄鋼価格は輸入品を10~15%上回り、競争力の改善にはつながらないと分析。今後も2~3四半期は鉄鋼価格の下落が続くと予測し、政府が引き続き輸入関税を10~15%引き上げる可能性もあるとした。
国内の主要鉄鋼メーカーは先月、鉄鋼製品に対して20%の輸入関税を課すか、3カ月間の輸入禁止措置を採るよう、政府に要請していた。