【マレーシア】鉄鋼輸入時の認可証明、2カ月間中止に

8月17日8時30分配信 NNA

 マレーシア国内での生産活動に影響しかねないと懸念されていた鉄鋼製品や粗鋼の輸入に伴う認可証明書(COA)制度が一時中止となった。国際貿易産業省(MITI)が決めたもので、期間は今月13日から10月12日までの2カ月間。ボルトやチューブなど多岐にわたる製品が対象となるため、日系企業の間では一時中止に歓迎の声があがっている。だが、現時点で政府は10月13日からの再開を示唆。再び混乱が生じる可能性が残っているだけに、今後の動向が注目される。

 MITIは、産業界と議論した結果、混乱をきたしているなど反対意見が多かったことから中断を決定した。今月1日に実施したところ、税関で貨物が足止めされるなどの問題が発生したため、一時的に取りやめて制度運用を見直すことにした。昨年11月からCOA制度が適用されている棒鋼など57品目については、中止の対象にならない。
 
 今後の焦点は見直しの内容。日本貿易振興機構(ジェトロ)クアラルンプール事務所によれば、同制度の認証機関であるマレーシア工業研究所(シリム)が見直しを進める。対象製品を「重要(Critical)」と「非重要(Non―Critical)に分類。「非重要」製品に対するCOA取得を不要にすることを検討しているという。
 
 日本も、マレーシア政府に対して見直しを求めていく。在マレーシア日本大使館、ジェトロ、マレーシア日本人商工会議所(JACTIM)が協力して、6月ごろから実施に反対の姿勢を表明するとともに内容修正を求めてきたが、今後も「引き続き働きかけを行っていく」(業界関係者)方針だ。
 
 COA制度は、6月に発表した新鉄鋼政策に盛り込み、今月1日から実行に移したが、産業界が猛反発。マレーシア航空貨物フォワーダー協会(ARAM)は、新たな手続きの発生などで各地の税関で貨物が滞った状態になっているとして同制度の撤回を要請。MITIは今週に入り、同協会との協議で、プレクリアランス(相手国の空港などで通関を行うこと)を認めるといった緩和策の即時実施を発表した。しかし、産業界からの反発が続き、制度の一時中止を決めた。
 
 同制度は、すべての鉄鋼製品の貨物を輸入通関する際にCOAの取得を義務付けたものだ。72番と73番の輸入品番(HSコード)が付いている200種類を超える全鉄鋼製品を対象としている。熱延鋼板や冷延鋼板に限らず、パイプやチューブ、ボルト、ナット、ピンなど対象は広範。取得までに最長で3日を要する上に検査費用がかかるため、日系を含む購入者サイドは生産に支障をきたすなどの影響が広がりつつある。
 
 同様の制度は先進国にはなく、東南アジアではタイなどが実施している。一方で、インドは今年2月から実施しようとしたが、日米欧の反対などを受けて実施を1年先送りすることを決定。インドネシアも実施すると発表したが、現時点で実行されていない。

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