便利な機能付きのフライパンが人気を集めている。卵焼きを焼きやすいように鉄板部分に仕切りを付けたり、セラミックなどで表面を加工して焦げ付きにくいようにしたり。不況の中、自宅で料理をしようという人にとって、関心の高い商品になっているようだ。
通販会社「千趣会」(大阪)は昨年12月、「卵一つで卵焼きフライパン」(2980円)と名付けた商品を発売した。
直径24センチのフライパンの鉄板部分に、高さ約1・5センチの仕切りが2本平行に並んでいる。この仕切りで、中央に幅7センチの長方形の枠ができ、卵焼きを焼ける仕組み。表面はフッ素加工がしてあり、電磁調理器にも対応している。
「お客さんからのアイデアでできた商品です」と同社の加藤千香さん。昨年3月、通販雑誌の読者からフライパンの絵が入った手紙が寄せられた。通常の四角いフライパンでは、卵を数個入れないとふっくらとした卵焼きが作れない。「量が多くて弁当に入れても余る。卵1個で卵焼きを作れるよう、仕切りを付けたフライパンを作ってほしい」という内容だった。
同社では商品開発を始め、仕切りの高さなどを調整。販売したところ、半年で約2万5000個を売るヒット商品になった。加藤さんは「卵焼きと同時に野菜いためなども作れる。忙しい朝、時間短縮になります」と話す。
焦げ付きを防ぐための表面加工を施したフライパンの種類も増えている。日本橋高島屋(東京)では、昨年9月にフライパンコーナーを拡充し、輸入品を中心に約30種類の商品を並べている。
特に力を入れているのが、鉄板の表面をセラミックなどで加工したフライパン。販売元はフランス「オーベック」社で、フッ素加工のフライパンのように、油を使わなくても焦げ付きにくい。価格は直径24センチで5775円と高めだが、フッ素加工の商品より長持ちするという。「セラミックは弱火でも熱が伝わりやすいのが利点で、使いやすい」と、高島屋で買い付けを担当している植田尚子さん。
同店ではこのほか、細かなダイヤモンドで表面を加工し、焦げ付きにくくするスイス製のフライパン「スイスダイヤモンド」なども扱う。植田さんは「家で作る料理に関心を持つ人が増え、フライパンへの関心も高まっているようです。機能性を重視し、少し高くても買い求める人も目立ちます」と話す。
こうした商品には様々なサイズが用意されている場合が多い。植田さんは、「いため物をしっかりとするなら直径28センチの大きめのもの、女性なら24センチの方が軽くて使いやすい」とアドバイスしている。
鮮やかな塗装
機能だけでなく、カラフルさを強調したフライパンも人気だ。
イタリアの「TVS」社が販売しているフライパンは火にかける部分に黄色やピンク、赤など、鮮やかな塗装が施されている。全8色。20センチのフライパンはオープン価格で、3000円程度。「使わないときには壁に掛けておくときれい。台所の雰囲気などに合わせ、好みの色を選べます」と輸入元のアクロス(大阪)では話している。
(2010年6月14日 読売新聞)