高校の時、友達とキャンプに行くのが流行(はや)った。
制服や厳しい校則のない学校だったので、土曜日にはでかいリュックを担いで登校して、そのままキャンプ場に出かけていた。
移動手段は当然電車にもかかわらず、なぜかそのころおれたちは、キャンプには鉄板が欠かせないものと思い込んでいて、友達の家に転がっていた、ものすごくでかくて重たい鉄板を誰かがリュックにくくりつけて毎回持って行っていた。
キャンプ用の調理道具などロクに買えなかったとはいえ、それが理由というわけでもない。いまだになんでキャンプイコール鉄板だと思っていたのか、なぜ誰もそれに疑問を持たなかったのか、まったくわからない。
とにかくキャンプといえば鉄板だった。で、鉄板で作るものといえば焼きそばだった。焼きそばは安くて簡単で高校生にはうれしい料理だった。ちょっと油断すると鉄板にくっついてしまうのだけれど、その焦げたところがまたうまいんだよな。
ほとんどめんとキャベツだけの鉄板全面にできた焼きそばを、飯盒(はんごう)で炊いたごはんで食べていた。めちゃくちゃだけど最高だった。
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≪めんは好みで選ぶ≫
焼きそば用のめんは最近では色んな種類が売られている。地域ごとの特徴あるめんなどもあって、添付のソースの味もそれぞれ違う。定番のものから太いもの、平たいもの、さっぱり味、濃厚、と、選ぶ楽しさがある。
どういうタイプのものがおすすめなんてことは全くなくて、完全に好みで選べばそれでいい。まあでも、まずは定番からかな。(文:料理家 ケンタロウ/撮影:寺河内美奈/SANKEI EXPRESS)
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■ケンタロウ 料理家。1972(昭和47)年、東京生まれ。大学在学中よりイラストレーターとして活動。その後料理家に。料理のモットーは「簡単でおいしくって、しゃれっ気があって現実的なもの」。料理研究家の母、小林カツ代さんとの共著など著書多数。最新刊は「ケンタロウ1003レシピ」(講談社)。
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≪オムそば≫
【材料】(2人分)
豚バラ薄切り肉 80グラム
キャベツ 1/8個
にんじん 3センチ
焼きそば 2玉
水 1/4カップ
塩、こしょう、ケチャップ、マヨネーズ 各適宜
サラダ油 大さじ2
[a]
卵 3個
塩、砂糖 各1つまみ
[b]
ケチャップ 大さじ1/2
添付のソース 2袋
【作り方】
〔1〕キャベツは一口大に切る。にんじんは薄い半月切りにする。豚肉は一口大に切る。[a]は溶きほぐす。
〔2〕フライパンを熱してサラダ油大さじ1をひき、豚肉を加えて塩、こしょうを振って強火で炒める。肉の色が変わったらにんじん、キャベツの順に加えて炒める。
〔3〕野菜がしんなりしたら、焼きそばと水を加えて菜箸でほぐしながら炒める。全体に油が回ったら[b]を加えて炒め合わせる。
〔4〕1人分ずつ作る。フライパンを熱してサラダ油大さじ1/2をひき、[a]の1/2量を流し入れて素早く広げ、弱めの中火で焼く。卵の表面が乾き始めたら〔3〕の1/2量を真ん中にのせ、卵の両端を具にかぶせるように包む。
〔5〕フライパンに皿をかぶせ、ひっくり返して取り出す。上からキッチンペーパーをかぶせ、手で軽く押さえながら形をととのえる。好みでケチャップ、マヨネーズをかける。
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≪卵のペーストのせトースト≫
【材料】(1人分)
ゆで卵 1個
好みのパン 1枚
バター、こしょう 各適宜
[a]
牛乳、マヨネーズ 各大さじ1/2
塩 少々
【作り方】
〔1〕卵は粗みじん切りにする。[a]と混ぜ合わせる。
〔2〕パンをトーストしてバターを塗る。〔1〕をのせてこしょうを振る。