枝バネに大ジャンプ、サル集団脱走 京大霊長類研究所

京都大学霊長類研究所(愛知県犬山市)で飼育されているニホンザル十数匹が、研究所から脱走した。サカキの枝の弾力を使い、高さ約5メートルのフェンスを飛び越えたらしい。捕獲されたり、帰ってきたりして5日昼までにすべて戻ったが、想定外の行動に研究者も驚いている。

 平井啓久副所長によると、ニホンザルの飼育場はフェンスで囲まれた約1.5ヘクタールの森林で、1990年代後半ごろに造られた。脱走防止用にフェンス内側の高さ3メートル付近から上には鉄板が張られ、上部と下部には高圧電線もある。この飼育場の中で行動観察や繁殖のために80匹が暮らす。

 4日午後1時ごろ、見回り中の職員が、サルの数が少ないことに気づいた。間もなく、十数匹がフェンスの外側4~5メートルの場所で群れているのを見つけ、ピーナツでおびき寄せて5匹を捕獲。残りは逃げたが、5日昼、飼育場にすべて戻っていた。フェンスは外からはよじ登れる構造になっているという。

 逃げたサルの多くは4~5歳で、人間でいえば10代後半~20代前半の元気な盛り。フェンスの鉄板にサルの手の跡が残っていたことなどから、フェンスから2~3メートルの場所に生えていたサカキやヒサカキに登り、枝の弾力を使って飛び上がり、フェンスを越えたとみられている。

 脱走ザルの中にボス級のメスザルがおり、このサルが手本になって次々に飛び出した可能性があるという。再発防止のため、フェンス近くの木は切って低くした。

 平井副所長は「想像以上のジャンプ力だ。しかし、結局は、エサが食べられる『わが家』が一番だったのでしょう」と話していた。(渡辺秀行)

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