10月29日8時2分配信 フジサンケイ ビジネスアイ
新日本製鉄は28日、韓国の鉄鋼最大手ポスコがベトナムに建設中の鋼材加工拠点に資本参加すると発表した。出資比率は10~20%をめどに、今後協議していく。
鉄鋼需要の堅調な伸びが今後も見込めるベトナムには、アジアの鉄鋼メーカーが大型設備投資計画を相次いで表明するなど、競争が激化している。一方で、自動車向け鋼板など高級鋼材の需要はまだ弱いのが実態。
新日鉄は、提携関係を結ぶポスコとの共同進出でリスクの軽減を図るとともに、成長市場であるベトナムに拠点を広げ、アジア市場の拡大に合わせたグローバル戦略の選択肢を増やす。
ベトナムで合弁化する会社は、ポスコが完全子会社として06年11月に設立したもので、総投資額は約528億円。ホーチミン市の南東80キロに、二輪車向けなどの冷延鋼板の製造ライン(年産120万トン)を中心とした設備を導入し、韓国や日本から持ち込んだ鋼材を加工する。稼働は2009年9月を予定。
新日鉄はベトナムに年間数万トンの鋼板を輸出しているが、増大する現地需要への本格的な対応を検討していた。
ベトナムの鋼材需要は1000万トンだが、2010年には倍増する見通しもある。
一方、冷延鋼板などの高級鋼材需要はまだ150万トン程度に過ぎないが、大幅な伸びも見込める。
ベトナムでは、日本の鉄鋼大手として住友金属工業が初めて、台湾鉄鋼大手・中国鋼鉄と鋼板の合弁会社を設立し、本格進出を決定。インドの鉄鋼大手なども進出計画を表明するなど、供給過多を懸念する声も上がっている。