東京・千代田区で大型クレーン車が横転し、歩行者ら6人が重軽傷を負った事故で、クレーン車の作業員は「資材を地中から引き抜こうとした際に、バランスを崩した」と説明していることがわかった。
14日午前11時10分、東京・千代田区麹町のマンション建設現場で突然、大型クレーン車が横転し、白昼のオフィス街が騒然となった。
トラックが巨大なクレーンに押しつぶされ、トラックのクラクションは鳴り続けていた。
事故発生直後の緊迫した事故現場を、視聴者のカメラがとらえた。
目撃者は「すごい音、ピューッていってましたね。ガーっていうような音がして落ちてきましたね。(落ちた)瞬間はものすごい音でしたよ」、「ほこりっぽいのが、風が、爆風みたいのが飛んできて」などと話した。
104トンもの重さのあるクレーン車は、工事現場のフェンスや中央分離帯をなぎ倒し、新宿通りの片側3車線をふさいだ。
そして、クレーンはたまたま通りかかった歩行者と、走行中のトラックに直撃した。
なぎ倒されたフェンスの下敷きとなった女性が、頭蓋(ずがい)骨骨折の重体となった。
さらに、トラックの運転席部分が押しつぶされ、中に運転手などが閉じ込められたが、まもなく救助された。
そして、クレーン車の男性作業員が運転席から投げ出され、背中に軽傷を負うなど、この事故で6人の負傷者を出した。
クレーン車の作業員は、警視庁の事情聴取に対し、「『ケーシング』と呼ばれる筒状の資材を地中から引き抜こうとした際に、バランスを崩した」と話している。
なぜ、巨大クレーンは倒れたのか。
国土交通省によると、長いアームのあるような重機を使う場合は、敷板を敷くなど、転倒防止対策を取るよう建築基準法に定めている。
クレーン車の足場となっていた場所は鉄板が敷かれていて、足場が緩んだ様子は見受けられなかった。
クレーン車の所有会社「大洋基礎」の早乙女専務執行役員は「地盤の問題とか、それから旋回中の問題とか、それから巻き上げるときの問題とか、そういう問題が予想されますけどね。ただ、まあその、今回どうしたのか、ちょっとそれは調べてみないとわかりませんね」と語った。
事故原因について、横浜国立大学(安全工学)の清水久二名誉教授は「大きく分けて2つありますよね。それは(クレーン車を)支えていた地盤なり、あるいは人工的な地盤がぐらぐらっとしたんじゃないかという。2番目は、もともと持っているクレーンの力学的な不平行、アンバランスというものがあるんですね。ほかの重機に比べて取り扱いが非常に難しいしね。最初からもう危険性を把握して、これは危険なものだというふうに考えてね、対策を取っていかなくちゃいけないです」と語った。
警視庁は今後、工事関係者から事情を聴き、業務上過失傷害容疑で捜査を進める方針。
[15日2時7分更新]