4月20日22時40分配信 産経新聞
日本鉄鋼連盟が20日発表した平成20年度の粗鋼生産量は前年度比13・2%減の1億550万トンと3年ぶりに前年実績を下回り、下落率は過去最大となった。
生産量は13年度(1億206万トン)以来の低い水準。19年度は中国などアジア向け輸出が好調だったことなどから過去最高を更新したが、昨秋以降の世界同時不況を受けた需要の急減で急ブレーキがかかった。
種類別では、幅広い用途に使われる普通鋼が12・4%減の8328万トン、自動車用などの特殊鋼が15・8%減の2222万トンだった。炉別では、高炉メーカーの転炉が11・9%減の7979万トン、鉄スクラップを主原料に建築用鋼材などを製造する電炉が17・0%減の2571万トンだった。
21年3月の生産量も前年同月比46・7%減の574万2000トンで、6カ月連続で前年同月を下回り、下落率は前月記録した44・2%を超え、過去最大を4カ月連続で更新した。
1~3月期も前年同期比42・9%減の1759万9000トンと昭和43年10~12月期以来約40年ぶりの低水準に落ち込んだ。
ただ、前月比では4・8%増と20年10月以来5カ月ぶりにプラスに転じるなど明るい兆しもある。大口需要家の自動車、家電業界の在庫調整が進展したほか鉄鋼各社が取り組む大幅減産の効果が出てきたためだ。
2月末の自動車や家電向けの高級鋼材の薄鋼板3品在庫量(メーカー・流通合計)は7カ月ぶりに減少した。しかし、在庫量はなお適正水準の400万トンを上回っており、自動車など「川下」のメーカーが復調しても、「川上」の鉄鋼メーカーに波及するには時間がかかる。このため、鉄鋼連盟は「4月から6月までは低水準の生産が続きそうだが、それ以降は不透明だ」と慎重な見方を崩していない。