チャリン、チャリン-。まんじゅうをひっくり返すと響く懐かしい音が豊橋駅前に戻ってきた。2003年に閉店した豊橋西武(西武百貨店豊橋店)で売られていた「西武まんじゅう」を、百貨店跡地から南東へ50メートルの店「かぶき家」が復活させた。「ええじゃないか豊橋饅頭(まんじゅう)」として売り出した。
懐かしのまんじゅうは、豊橋西武の前の「丸物百貨店」の時代から百貨店地下で売られていた。白あん入りのカステラまんじゅうで、丸物百貨店では「物」、豊橋西武では「西」や「SEIBU」と焼き印されていた。
まんじゅうを復活させた「かぶき家」は、広告代理業「ジープレス」代表の鈴木恒安さん(43)が立ち上げた。鈴木さんは数年前から街中活性化の活動に加わり、自分も街に店を出そうと決意。その時、頭に浮かんだのが「いつも家族や親類が土産で買ってきてくれたまんじゅう」だった。
復活に欠かせなかったのが、1時間に700個をつくる自動焼き機。真ちゅう製リングの中に皮と白あんを詰め円形の鉄板が回転。リングを返す時に「チャリン」と特徴的な音が響く。昔の製作メーカーは廃業していたが、愛西市のメーカーが今も受注生産していた。
「子どものころ、まんじゅうが焼き上がるのをじっと見つめていました」と話すのは、豊橋市で生まれ育った、かぶき家店長の山田良彦さん(41)。「百貨店や映画館に来た帰りには必ず寄っていた。街に出る楽しみの一つだった」と懐かしむ。
再現したまんじゅうには「え」の焼き印。豊橋商工会議所青年部などが推進する街活性化運動「ええじゃないか豊橋」にちなむ。販売開始から1カ月半がたつが、買い物客からは「懐かしい」との声が届き、鈴木さんは「街のワクワク感を次の世代に伝えたい」と意気込む。
ええじゃないか豊橋饅頭は、12個入りで540円。ばら売りもしている。水曜定休。
(石屋法道)