マンホールサミット/「マンホール女子」魅力語る

【暮らし支えるインフラ 価値を見える化】  目に見えないインフラの価値を見える化--。マンホールマニアと下水道事業の関係者が一堂に会したトークイベント「マンホールサミット2015」が7日、東京都千代田区のメタウォーター本社会議室で開かれ、マンホール蓋の歴史や技術、また地域色豊かなデザインマンホールやそれを訪ね歩く楽しさなど、その魅力や可能性を縦横に語り合った=写真。  主催は下水道広報プラットホーム(GKP、会長・長岡裕東京都市大教授)。市民生活に欠かせない下水道の役割や価値を伝えるための効果的な広報推進を目的に産学官が連携して12年6月に設立した。1月27日現在で会員数は個人601人、団体49団体となっている。  マンホールサミットは昨年3月に初めて開催され、広く話題を集めた。2回目となる今回は、近年急増中と言われるマンホール好きの「マンホール女子」が数多く参加。冒頭、長岡会長は「前回はマニアの方々の熱いトークに感銘を受けた。マンホールは目に見えない管路と市民をつなぐ扉であり、下水道の役割を見える化する役割とともに、さらなる魅力を付加するものだ」とあいさつした。  第1部のリレートークでは、全国市町村の75%を訪ね歩いたという『デザインマンホール100選』の著者、池上和子さんの「マンホールと旅」を皮切りに、街歩きがきっかけでマンホールの魅力にハマった主婦でブログ管理人の小金井美和子さん、アニメに登場するマンホール蓋を徹底的に確認・検証したマンホール蓋愛好家の傭兵鉄子さんなど、マニアならではの視点から、それぞれの楽しみ方や寄せる思いがデータとユーモアを交えながら紹介され、会場をおおいに沸かせた。  一方、下水道マンホールに特化した試験・研究・検証機関、G&U技術研究センターの内山真喜子さんはマンホール蓋に求められる安全対策を説明。このほか現在のデザインマンホール普及の仕掛け人でもある建設省OBの亀田泰武氏、実際の事例をもとに災害時のマンホールトイレの有効性を訴えたNPO法人日本トイレ研究所代表理事の加藤篤さんら専門家の知見なども披露された。  これらを踏まえた第2部の座談トークでは、GKPの栗原秀人企画運営副委員長のリードで管路管理総合研究所の金千春さん、“地図偏愛系マンホール女子”の山市香世さん、それに国土交通省水管理・国土保全局下水道部の那須基町村下水道対策官の3人が「マンホール蓋はどこまで進化する?」をテーマに討論。空気清浄機能や位置情報などの情報発信・収集機能の付加といった提案や、これを発展させてAR(拡張現実)による観光案内や育成・対戦型のゲームなどへの活用といった大胆なアイデアも飛び出した。  栗原氏は「全国に1400万個のマンホール蓋があり、その下には45万㎞の下水道管路があって、2200カ所の処理場が日々の暮らし、地域、水を支えている」とした上で、サミットを通じて下水道に対する理解を楽しみながら深めていくことの意義を強調した。

[ 2015-03-10  2面]

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