鋼板大手 価格カルテル立件へ 東京地検特捜部 亜鉛メッキ便乗値上げ

11月3日8時3分配信 産経新聞

 製鉄最大手「新日本製鉄」(東京)の子会社と出資会社の2社を含む鋼板メーカー大手4社が、建材などに使う亜鉛メッキ鋼板の販売で価格カルテルを結んでいた疑いがあるとして、東京地検特捜部が独占禁止法違反(不当な取引制限)の容疑で、鋼板大手の担当幹部らの事情聴取を始めたことが2日、分かった。特捜部は同容疑での立件に向け、独禁法を所管する公正取引委員会との協議を本格化させる方針とみられる。

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 カルテルを結んでいた疑いがもたれているのは、「日新製鋼」(東京)と「日鉄住金鋼板」(同)、「JFE鋼板」(同)、「淀川製鋼所」(大阪)。JFE鋼板は、平成18年1月施行の改正独禁法で新設されたリーニエンシー(自首減免)制度にもとづき、最初に「自首」をしたものと認定され、刑事訴追は見送られるとみられる。

 関係者によると、4社は18年度に複数回、亜鉛メッキ鋼板を値上げした際、事前に鋼板1キロ当たりの値上げ幅を話し合いで決めていた疑いがもたれている。亜鉛メッキ鋼板はトタン板に代表される鋼材で、建物の外壁や住宅の屋根といった建材に加え、電化製品や生活用品など幅広く使用されている。年間の市場規模は約3500億円にのぼり、4社合計の販売量が全体の約80%を占める。

 原油価格や原材料費の高騰を背景に物品の値上げが相次いだ中、カルテルによる便乗値上げがあった疑いが浮上。特捜部は国民生活に広く悪影響を及ぼす重大な独禁法違反と判断したもようだ。

 産経新聞の取材に、鋼板大手の関係者は「検察の事情聴取を受けた」と認め、建材商社の関係者も「亜鉛メッキ鋼板を買った側の立場で、参考人として東京地検特捜部の事情聴取を受けた」と証言した。

 民間の信用調査機関によると、日新製鋼は資本金約799億円で、新日鉄が筆頭株主。日鉄住金鋼板は資本金約110億円。新日鉄の子会社で、「住友金属工業」(大阪)も出資している。

 淀川製鋼所は資本金約232億円。「ヨドコウ」の通称で知られ、有力商品に「ヨド物置」がある。JFE鋼板はJFEスチールのグループ企業で、資本金は50億円という。

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