【インド】神戸製鋼、製鉄機械の営業拠点を設置

7月2日8時30分配信 NNA

 神戸製鋼所は6月30日、東部の西ベンガル州コルカタに、製鉄機械などを扱う重機械部(機械エンジニアリングカンパニー)の営業拠点を設立した。同国ではグループのコベルコ建機が2007年にデリーに建設機械の販売・サービス拠点を開設しているが、神戸製鋼が直接出資する拠点は初めて。成長の見込めるインドへの進出で、重機械部の海外展開を加速させたい考えだ。

 神戸製鋼の広報担当者が1日、NNAに説明したところによると、新会社コベルコ・マシナリー・インディアは、建材として利用される棒鋼向けの圧延機を中心に、製鉄圧延・連鋳設備、非鉄圧延設備、プレス機械のマーケティングと販売支援を行う。当初は日本人1人を含む5人で業務を開始。資本金は400万ルピーで、同社が90%、神鋼商事が残り10%を出資する。
 
 営業のターゲットは、地場の鉄鋼会社で、大手各社が展開するコルカタに拠点を設けた。現在、西べンガル州を含む東部のベンガル湾沿いで、新規の製鉄所建設が相次いでいる。
 
 製品は兵庫県高砂市の生産拠点から輸入する。受注契約はまだ獲得していないが、すでに引き合いはあり、「需要は旺盛」(広報担当者)という。
 
 同社は日本の棒鋼向けの圧延機市場でシェアトップ。自動車向け鋼板などの高級材と違い、汎用品の棒鋼はすでにインド企業による生産が進んでいるほか、建設分野の成長加速で市場が急速に伸びているという。
 
 世界鉄鋼協会は、インドの国内鉄鋼消費量が08年の5,260万トンから09年には5,350万トンになると予想。また同国鉄鋼省は20年には4倍近い2億トン程度まで拡大するとみている。
 
 こうした中、神戸製鋼が地場大手エッサール・スチールと高級鋼分野での技術支援などで包括提携を結んでいるほか、住友金属工業が高炉一貫製鉄所の建設と操業でブーシャン・スチールに技術援助するなど日系の進出が活発化している。
 
 ■海外展開を加速
 
 神戸製鋼の重機械部の売上高は年100億円規模。インドでは将来的に売上高50億円を目標に掲げており、期待が大きい。これまで「韓国などで受注実績があるが、海外はこれから」(広報担当者)だったが、インド進出などを足掛かりに海外展開を加速していく。
 
 ただ、神戸製鋼は09年3月期連結決算で314億円の赤字を出している。下期に全体的に需要が落ち込んだほか、リーマン・ショック後の株価下落で保有する株式の含み損を抱えたことなどで330億円の特別損失を計上したのが響いた。製鉄機械事業も受注が低迷しており、今期が正念場となりそうだ。
 
 それでも、インドなど新興国への投資は推し進める方針。広報担当者は「不要不急の投資はすべて凍結しているが、インドをはじめとするBRICs(ブラジル、ロシア、インド、中国)は成長市場として期待が大きく、投資を継続する」と説明する。中国では計画通り、鉄鋼部門の工場を立ち上げるという。

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