たこ焼き大使、ドイツへ 11日総領事館パーティーで振る舞う

大阪グルメ「たこ焼き」が11日、ドイツの在フランクフルト日本総領事館で開かれるパーティーで、日本を代表する料理の一つとして来賓者らに振る舞われる。高級なすしや天ぷらだけでなく、庶民的なイメージがあるたこ焼きを通じて、日本に親しんでほしいと総領事の重枝豊英さんが企画した。たこ焼きを焼くために手弁当でドイツに渡るのは、大阪のたこ焼きチェーンの経営者ら。「責任は重いが、世界に広めるチャンスにしたい」と準備を進めている。

 パーティーは天皇陛下の誕生日を前に「ナショナルデー」として、総領事館側がヘッセン州政府や経済界の要人を招いて毎年開催。今年は、ご即位20年のお祝いも兼ねていて、約400人を招待するという。

 ドイツでは近年、中国への関心が高まり、同じアジアの日本の存在感が薄れ気味。日本全体のアピールのほか、多様な地域性もPRしようと、「大阪のたこ焼き」をパーティーで披露することにした。

 総領事館の大西知恵副領事は「高級なイメージがあるすしや天ぷらでは伝えられない、元気で親しみやすいイメージをたこ焼きを通じて知ってもらえたら」と話す。

 当初は、領事館職員が手作りする計画だったが、400人分ものたこ焼きを素人が手早く焼くの難しいことから、重枝さんが、大阪の知人を通じてボランティアを募った。

 渡航費や材料の運送費も、すべて手弁当だが、たこ焼きチェーン「道頓堀くくる」を展開する白ハト食品工業(本社・守口市)の永尾俊一専務(46)が「やりましょう」と手を挙げた。

 永尾さんは、これを機会に、世界中にたこ焼きを広めたいと、食文化研究家で日本コナモン協会会長の熊谷真菜さん(48)や、イベントプロデューサーの上谷信幸さん(37)にも声をかけて、「世界タコヤキ委員会(略称・WTC)」を結成。

 WTCでは、パーティーに向け、タコが苦手な人のために、代わりにドイツソーセージを入れた“ご当地たこ焼き”を試作するなどして準備を進めている。

 当日は、鉄板を会場に持ち込み同社のベテラン職人2人が、菜ばしで丸く焼き上げる技を披露するほか、大阪の映像を流したり、大阪には家庭用のたこ焼き器が普及していることなどを紹介する計画だ。

 スピーチを担当する熊谷さんは「みんなでワイワイと焼いたり、同じ皿のものをつついたりする楽しさこそたこ焼きの魅力。大阪のたこ焼き文化を伝えたい」。永尾さんは「たこ焼きが日本全体のイメージにかかわってくると思うと責任は思い。全力で成功させたい」と意気込んでいる。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA