放射線治療を高精度に 聖隷三方原病院が県内初の装置導入

 地域がん診療連携拠点病院の聖隷三方原病院(浜松市北区)は31日から、新設した放射線治療室での診療を始める。頭部だけでなく全身の腫瘍(しゅよう)をピンポイントで治療できる最新の放射線治療機を、県内で初めて(全国5例目)導入したのが特徴。既存の治療機と合わせて年間700人余の患者の受け入れが可能になるという。 (赤野嘉春)

 導入した高精度放射線治療統合システム「ノバリスTx」は、3種類の画像誘導装置を装備。診療台上で患者の体表の動きを赤外線でとらえるほか、骨格の動きをエックス線透視画像で、内部臓器をCT横断像で把握する。診療台は縦横、上下の動きに加え、傾斜も可能。さらに患者の呼吸に合わせて放射線が照射できる。

 これまで頭部への放射線照射には、頭をボルトで固定する必要があったが、病変部を的確に把握できるため不要になった。放射線治療科の山田和成部長は「高精度な放射線治療が効率よくできる」と説明した。
放射線治療室は、広さ830平方メートル。放射線室は、治療機から発する放射線を遮断するために床や壁、天井のコンクリートの厚さを1メートル以上にし、部分的に30センチの鉄板を埋め込んだ。別室の操作室などには約50台の端末モニターなどを装備する。総事業費は約25億円。

 放射線治療は、病変部を切除しない“優しい治療”でもあり、荻野和功院長は「高齢化社会を迎えて需要は高まる。最新鋭の設備で治療に力を入れていく」と、意義を強調していた。

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