転落:足場解体作業中8階から 男性死亡--荒川 /東京

13日午前11時5分ごろ、荒川区南千住8の区立汐入東小の新設建設工事現場で、8階部分(高さ約30メートル)で足場を解体する作業をしていた江戸川区春江町3、会社員、蛭田誠樹さん(20)がバランスを崩し、転落した。蛭田さんは病院に運ばれたが、約4時間後に死亡した。南千住署によると、蛭田さんは落下防止のロープを付けていなかった。同署は業務上過失致死の疑いもあるとみて当時の状況を調べている。

 同署によると、蛭田さんは解体した足場の鉄板をロープで結び地上に下ろす作業中にバランスを崩したという。同小は8階建てで、来年4月開校予定。【古関俊樹】

〔都内版〕

レンガ車庫歴史に幕/JR糸魚川駅構内

■市、移設「できぬ」

 糸魚川市のシンボルの一つ、JR糸魚川駅構内の「レンガ車庫」の解体が決定的になった。建物をそのまま駅南側の駐輪場予定地に移動させる「曳家(ひきや)」案を提示し全面保存を求めていた市民団体に対し、市は10日夕、北陸新幹線の建設工事に支障が出て実施できないとする結論を示した。今後は、部分切り取り保存に向けて双方で協議し、JR西日本に要請することになった。
(遠藤雄二)

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 1912年完成のレンガ車庫は貴重な鉄道施設として親しまれているが、建設中の北陸新幹線にかかる。保存を求めるレンガ車庫基金実行委員会(天井貞代表)は9月、約700トンあるレンガ車庫を鉄板に載せて、110メートル移動させる案を市に示した。

 移動場所は、新幹線開業に伴って整備される南口広場脇の駐輪場予定地。8月に認定された世界ジオパークの発信拠点として展示や土産品販売、イベント会場などに使う計画を提案していた。

 米田徹市長は10日、天井代表らと会談し、「曳家案は実現できない」と回答した。

 市新幹線推進課によると、北陸新幹線を建設する鉄道・運輸機構と協議した結果、車庫の移動にかかる数カ月間、新幹線の工事車両が通行できなくなり工事の遅れが避けられない。さらに実行委が見積もった3億4千万円を上回る費用がかかり、財政的に極めて困難だという。

 市は、部材を切り取り、新しい駅舎の一部や駅周辺に生かす方向で、レンガ車庫を所有するJR西日本と協議するとしている。

 会談に同席した「糸魚川レンガ車庫保存・活用研究会」の後藤幸洋会長は「残念だが、市の方針を受け入れざるを得ない。今後は、できるだけその姿が残り、空間として使えるような形での保存を実現したい」と話す。

 ただ、どの部分をどれだけ残せるかは未知数だ。壁の一部やモニュメントにとどまる可能性もある。保存を前提に切り取り、保管するには相当な費用がかかるからだ。

 新幹線建設に伴うレンガ車庫の解体は来年3月からの予定で、部分保存するには2月までにJR西日本と合意する必要がある。JR西日本金沢支社広報は「できるだけの協力はしたい」としている。

線路内の鉄板めくれ上がる/喜多方

10日午前6時40分ごろ、喜多方市のJR磐越西線利田踏切で線路内に敷いてある鉄板が約20センチめくれ上がっているのを通行人が発見した。

直前に同踏切を通過した上り列車に接触した跡が見つかったため、運転を一時見合わせた。

JR東日本新潟支社で原因を調べている。

乗客らにけがはなかった。

同支社によると、鉄板は線路間で段差ができないように敷いてある。

現場は同市のJR荻野駅から尾登駅方面に約400メートル向かった地点。

枠超え街おこしを 九州B-1グランプリ “食の聖地”へ第一歩

7、8日、久留米市中心街に18万人(主催者発表)を呼び込んだ「第1回九州B‐1グランプリ」は、地元「久留米やきとり」が初代王者に輝いた。「久留米ラーメン」も3位入賞と好成績。投じられた1票1票はご当地グルメを通じた街おこしへの期待感の裏返し。2日間の熱気を次につなげる関係者たちの一歩を市民は待ち望んでいる。

■市民においしさと楽しみ

 焼き鳥店主たちの挑戦は郊外に大型商業施設が進出した2003年にさかのぼる。「人口比の焼き鳥店数が日本一(当時)の焼き鳥で中心街ににぎわいを生み続けていこう」と毎年、焼き鳥フェスタを開いてきた。

 「ようやく久留米の焼き鳥が自他共に認められた」と店舗数調査をしたタウン誌「くるめすたいる」発行人筒井博文さん(52)。ただ「これで終わったら意味がない」。

 事業費2200万円の九州B‐1は国・市の補助金1400万円がつぎ込まれるが、もちろん業界支援のためではない。

 B‐1トロフィーを受け取った焼き鳥店主、原田憲一郎さん(38)は「受賞をステップに街に恩返しできる取り組みをしないと」。今回、鶏肉を提供した市内の養鶏業者、古賀光幸さん(62)も「より内外にPRできる焼き鳥用のおいしい地鶏をつくる」と意気込む。

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 中心商店街で催された九州B‐1の関連イベントに新名物のお好み焼き(愛称・ダゴ)で参戦したありあけ新世高(大牟田市)の生徒たち。「街を元気にするため、一人でも多くに私たちがダゴの魅力を発信する」と、熱くなった鉄板の前で文字通り汗を流した。

 7日からはB級グルメを提供する久留米市内90店でスタンプラリー企画「食の八十八カ所巡礼の旅」も始動。同校生徒たちのようなご当地食を愛する市民をつくるきっかけづくりを目指すが、店側が待っているだけではただの催しに終わる。

 9日昼、市中心部のうどん店では「きのうはすごい人だったね」と話す常連客たちに、「今度は巡礼を楽しんで。これを持って他の店も回って」とラリーの台紙を渡す店主夫人の姿があった。「市民みんなに台紙を持たせるつもりやけんね」

 この日午後、早くも小郡市の男性(68)は10店を制覇し、「90店をめぐる」と宣言したという。

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 現在、久留米市や久留米商工会議所が掲げる「B級グルメの聖地(まち)」。イベント時だけ盛り上がるのではなく、日常的に久留米が食の街と認知され、観光客を呼び込んで初めて聖地と胸を張れる。

 そのためには焼き鳥、ラーメン、筑後うどんなどの関係者が、店や業界の枠を超えて連携し、自ら汗をかき、市民においしさとともに、楽しみを提供していく以外に近道はないのだろう。

=2009/11/10付 西日本新聞朝刊=

工事現場から鉄板盗もうとして男2人逮捕

 工事現場にあった鉄板を盗もうとしたとして神奈川県警大和署は8日、窃盗未遂容疑で、同県相模原市田名、土木業、宮本秀樹容疑者(28)ら2人を逮捕した。

 同署によると、宮本容疑者らは4日午後8時5分ごろ、同県大和市福田の宅地工事現場で、同県相模原市内のレンタカー会社から借りたクレーン付きトラック(4・5トン)を使い、現場にあった鉄板(6メートル、1・5メートル、厚さ1・2センチ、重さ1・6トン)3枚を盗み出そうとしていた。

 現場を施錠するために工事現場に戻ってきた同所取締役男性(61)に発見され、2人はクレーン付きトラックを放置して逃走。しかし、小田急線高座渋谷駅の防犯ビデオカメラに2人の姿が映っていたことから追求、犯行を認めた。2人は犯行翌日の5日、相模原署にレンタカーを盗まれた、と虚偽の被害届けを出していた。

蒸気機関車、市民が修復 小松島ステーションパーク名物

小松島ステーションパーク(小松島町網渕)名物の蒸気機関車が、展示されて36年目にして初めて修復される。傷みが激しく、市民の間から「何とかならないのか」という声が上がっていたが、管理する市の財政難により放置されたままだった。協力を求める市の呼び掛けに、市内の鉄工所が名乗りを上げ、ボランティアで修復作業を始めた。

 蒸気機関車は「C12-280」。国鉄牟岐線が開通した1936年から35年間、徳島-牟岐間や小松島線の中田-小松島間を運行した。市が73年、国鉄から譲り受け、市立図書館の横で展示。85年の小松島線の廃線後、小松島駅跡地が93年にステーションパークとして整備されたのを機に、現在の場所に移された。

 市によると、展示を始めてから10年ほどは、国鉄OBに委託して整備していたが、高齢化により途絶え、その後はほぼ放置したまま。今ではペンキがはがれたり、さびて穴が開いたりし、市民から修復を求める声が寄せられていた。

 しかし、市は赤字決算を計上する県内唯一の自治体。修復費をひねり出す余裕がないため、ボランティアで修復を引き受けてくれる先を探していたところ、市内の山本鉄工所が手を挙げた。作業は10月17日に始まっている。

 修復では、蒸気機関車は本来の塗装を再現。ピンクの客車は港町ならではの海をイメージし、群青色に白の2本線に塗り替える。車体の穴は鉄板を当てるなどして埋める。今月中旬までには完成する予定。

 市は「財政難の中、今回の件は非常にありがたい」としている。

検見川送信所保存検討 熊谷市長が見学

千葉市の熊谷俊人市長は30日、昭和初期に日本から初の国際放送を送信した同市花見川区の「検見川送信所」を視察した。30年前に閉局後、歴史的建造物ながら「廃虚スポット」として知られるようになり、解体計画もあったが、熊谷市長は保存に向けて、検討する意向を示した。

 送信所の建物はJR新検見川駅近くの市有地(2・3ヘクタール)の一角に残る。

 1926(大正15)年に開局、30(昭和5)年にロンドン海軍軍縮条約の調印を記念し、当時の浜口雄幸首相による平和演説を米英に発信した。日本初の国際放送とされる。

 人工衛星による国際通信が主流となり、79年に役割を終えた後は、千葉市の都市計画に基づいて建物を取り壊して中学校を建てる予定だった。

 閉局後、立ち入り禁止となり、90年代あたりから廃虚スポットとして知られるようになった。内部は落書きや割られたガラスなどで荒れ放題。

 東京と大阪の中央郵便局を手がけた建築家吉田鉄郎が設計した、白亜の外壁を持つ2階建ては、防犯対策のため、窓に鉄板が打ち付けられた痛々しい外観をさらしていた。

 この日、熊谷市長は初めて内部を見学。文化財としての保存・活用を求める有志でつくる「検見川送信所を知る会」のメンバーとともに、懐中電灯を手に中へ。クモの巣が張られ、壁材ははがれかかっていたが、「まとまった大きさの部屋が多い」「構造がしっかりとして、見た目ほど傷んでいないのでは」などと口にしながら奥へと進んだ。

 この場所での中学校建設計画は地域の人口増が見込めないため白紙に。送信所の解体には数億円がかかるとの試算もあり、地元住民や建築専門家などから文化的価値が高い歴史的建造物として保存を求める声が上がっている。

 見学後、熊谷市長は「聞くと見るとでは大違い。地元の人らと話し合って、お金をかけずに活用できるよう考えていきたい」と説明。内部調査や歴史的価値の再検討など、保存に向けて市として動く考えを示した。